スポーツ映画にありがちな、ダメチームが紆余曲折を経て、
優勝をモノにするストーリー。
うまくいけば感動するが、予定調和で、イマイチなことも少なくない。
たくさんある野球映画の中で、最も野球映画らしい楽しさを味わえるのが、
1989年に製作された、『メジャーリーグ』だ。
実在の弱小球団、クリーブランド・インディアンスを取り上げたこの作品は、
公開当時わずか3日間で、”約11億円”を叩き出した、大ヒット作でシリーズ化されている。
伝統の他には何もないチームが希望を見出し、
優勝という目標に向かって、一体となって突き進んでいく――
まさに、アメリカン・ドリームの物語である。
最初はロクにプレイも出来ない、はみ出し野郎達が、
それぞれ心境の変化を迎え、俄然張り切りだすさまが、
コメディタッチで、スピード感豊かに描かれる。
監獄上がりのピッチャーを演じるチャーリー・シーンは、
実際に140㌔を投げる、剛腕の持ち主。
元メジャーリーガーも多数参加しており、
スポーツ映画の持つ特有の面白さ、男達の汗と涙と笑いが爽やかな感動を呼ぶ。
この映画の最大の見せ場は、ラストの、対ヤンキース戦の場面だろう。
地元のエキストラ7万5千人で球場を埋め尽くした、
観客の興奮と盛り上がりは、本物のリーグ戦に勝るとも劣らない。
特にチャーリー・シーンが入場する際に、
テーマソングに合わせて観客全員が総立ちで声援を送るシーンは、鳥肌ものだ。
映画を観ているだけではなく、まるでそこに、”参加している”醍醐味がある。
残り試合が40試合を切り、プレーオフ争いが熾烈を増す、
現実のメジャーリーグを楽しむためにも、お勧めの一本だ。