『エニイ・ギブン・サンデー』『タイタンズを忘れない』など、
ハリウッドはこれまで多くの名作アメフト映画を生んできたが、
中でも名作の誉れ高いのが、1974年に製作された、
バート・レイノルズ主演の、『ロンゲスト・ヤード』だ。
刑務所の中という特殊な環境で繰り広げられる人間模様と、
試合シーンのド迫力が語り継がれているが、
それを支えているのは、元アメフト選手が多数参加していることと、
何よりも、主演のバート・レイノルズ自身が、
大学時代オール・フロリダにも選ばれ、将来を嘱望された、
アメフト選手だったことに起因している。
八百長で身を持ち崩したアメフトの元花形選手が、
刑務所で再びアメフトと関わることで、己の誇りを取り戻す――。
アメフト映画の1つの魅力は、中心となるQBの選手の設定にあるが、
刑務所にぶち込まれ、落ちぶれた人間を主人公に据えているところに、
本作の特徴がある。(QB:クォーターバック)
クライマックスの、囚人チームVS看守チームのシーンに向け、
主人公には様々な妨害が加えられ、命まで狙われる。
普段いじめぬかれている囚人達をまとめ上げ、
「看守を合法的に殴る」目的で、練習に力を入れるシーンが、なんともコミカル。
試合中も、相手の急所めがけパスを思い切り投げつけるなど、
随所に笑いのシーンがあり、アカデミー賞と並ぶゴールデングローブ賞において、
ミュージカル・コメディ部門を受賞したのも頷ける。
囚人チームが優勢になる中、所長から八百長を持ちかけられ、
一度は自分の身を守るためそれに乗る主人公だが、
ある1人の囚人の言葉により、再び勝利に向け走り始める。
スポーツ映画の醍醐味が味わえる、おすすめの一本と言える。