落ちこぼれの生徒達を、1人の教師がスポーツを通じて変えていく――
といったドラマは、国内外問わず数多く作られている。
日本においては、『スクール・ウォーズ』・『ルーキーズ』
などが、代表作として挙げられる。
実話をもとにした作品も多く、人種差別で揺れる街を変えるきっかけとなった、
アメフトチームの快進撃を描いた、『タイタンズを忘れない』 などがある。
そんな名作ぞろいのスポーツ教師ものの中でも、
サミュエル・L・ジャクソンの名演が心を打つ感動作が、
2005年に公開された。
『コーチ・カーター』 だ。
大学進学率が最低水準で、犯罪者になる卒業生も多い、
落ちこぼれ高校に、1人のOBが、教師として赴任する――
これだけ聞くと、ありがちな話なのだが、この映画の魅力は、
ただ単にバスケットを教え、チームを強くしていくだけでなく、
学業での成績向上と、規律ある生活態度を生徒に求めることを、
きちんと描いている点にある。
実際モデルとなった、コーチのケン・カーターは、
開幕13連勝を遂げながらも、生徒の成績不振を理由に、
体育館を閉鎖するなどしている。
また、彼が指導した生徒のほとんどは、
バスケットだけでなく成績も優秀になり、大学進学している。
昨今、相変わらず問題になる部活動での体罰やいじめ。
生徒の将来を考え指導している教師がどれだけいるのか、
耳を疑いたくなるようなニュースばかりが目につくが、
「自分のことをよく思わない生徒がいるのはかまわない。
10年後に彼らが成功を手にすることが、私の望みなのだ」
と語るコーチ・カーターの姿に、教育とは何かを考えさせられることだろう。